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ドアビーム

ドアビームの定義と役割

ドアビームは自動車を製造する際に、車両のドアの内蔵パーツとして使用される部品の1つであり、正式名称は「自動車側面衝突エネルギー吸収補強材」と呼ばれます。

ドアビームは事故などによって自動車の側面に衝撃が加えられた際、ドアやその周辺に発生した衝撃を吸収することで、車両本体や車内へのダメージを緩和するために機能する点が特徴です。

ドアビームは自動車の安全性に大きく関わる重要なパーツであり、現代の自動車製造業界では軽量性・耐久性・加工性といった各種項目をトータルで追求するドアビームの開発が積極的に進められています。また、均一な製品を高精度に量産可能なロールフォーミングは、ドアビームの量産工程に適していることも重要です。

車両の安全性向上におけるドアビームの重要性

上述したようにドアビームは自動車の安全性に大きく関与する部品であり、突発的に発生する強い衝撃に対して十分な衝突エネルギー吸収性能を確保していなければなりません。

一方、現代の自動車産業ではサスティナブルな社会を実現するため、環境負荷を軽減できるよう軽量化による燃費性能の向上も重視されており、例えば剛性を追求するあまりに高重量のドアビームを使用した場合、燃費性能が悪化してしまう恐れもあります。そのため低燃費化と安全性強化のバランスを考えて、素材や形状の研究が続けられていることがポイントです。

なお、製品の品質管理や環境保護については様々な部品メーカーが取り組んでおり、それらの達成度を客観的に示す指標として国際規格であるISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)の取得を目指しているケースもあります。

ドアビームの素材

高張力鋼(ハイテン鋼)

アルミニウム合金

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)

ドアビームに関する特許

アルミニウム合金製ドアビーム(株式会社神戸製鋼所)

神戸製鋼所が2019年5月22日に出願した特許技術であり、アルミニウム合金製のドアビームの製造に関連したものです。

アルミニウム合金押出形材を用いたドアビームに衝撃が加えられた際、その一部に座屈が生じたり、外側フランジの溶着部に破断が生じたりするのを抑制するための断面形状などを開発しました。

参考元:特許情報プラットフォーム「特開2020-189582:株式会社神戸製鋼所」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200

車両のドアビーム(トヨタ自動車株式会社)

2018年3月1日出願の特許技術であり、自動車の側面のドアへ柱状の物体が衝突した際、ドアが内側に押し込まれる量を抑制して乗客の安全を守るためにトヨタ自動車が開発したドアビーム及びドア本体の構造です。

ドア本体にアルミニウム押出材を使ったベルトラインビームを配置し、独自の屈曲形状を再現することで側方ドアの進入量を低減しました。

参考元:特許情報プラットフォーム「特開2019-151175:トヨタ自動車株式会社」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200

車両用ドアビーム構造(スズキ株式会社)

2013年12月13日にスズキ株式会社が出願した、車両用ドアビームの構造に関する特許技術です。車両の側面に物体が衝突して衝撃が発生した際、閉断面形状のドアビームにおける撓み変形を抑制しつつ、ドアインナパネルにドアビームを安定的に組み付けられるよう、ドアビームの構造や配置に関して工夫が行われました。

参考元:特許情報プラットフォーム「特開2015-113053:スズキ株式会社」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200

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ドアビームにおけるロールフォーミング技術の基礎

金属板の連続成形プロセスによる量産体制

ロールフォーミング加工ではローラーを用いて、素材である金属板を断続的に成形することが可能です。また加工品質はあらかじめ設定した条件にもとづいて均一に保たれるため、常に同一の安全性や品質を求められるドアビームの量産体制として適しています。

加えて、オートメーション化に適したロールフォーミングであれば24時間体制の稼働によって生産力を強化することも可能です。

押出成形とロールフォーミングの違い

押出成形は加熱溶解した金属や樹脂などを、金型を装着した加工機に流し込み、圧力をかけて押し出すことで金型の形状に成形します。一方、ロールフォーミングはあらかじめ用意した金属板を用いて加工するため、加工時の影響で素材の劣化や欠けといった不具合が生じにくくなることもメリットです。

再加工・二次加工の省略でコストを削減

最初にしっかりと素材の選定や加工条件の設定をしておけば、ロールフォーミングは安定的に均一な品質の製品を量産する上、めっき板や塗装板などの素材を利用することも可能です。これにより再加工や二次加工の工程を省略できるため、工期短縮やコスト削減に貢献します。

ドアビームのロールフォーミング加工における注意点

ドアビームは乗員の命を守る重要な保安部品であり、超高張力鋼(ウルトラハイテン)などの難加工材が多用されます。
そのため、通常のロールフォーミング加工に比べて高度な技術や品質管理が求められます。ここでは、特に注意すべき技術的なポイントを解説します。

1.ハイテン材特有の「スプリングバック」対策

軽量化と高剛性を両立させるために使用される高張力鋼(ハイテン)は、強度が上がるほど成形後に元の形状に戻ろうとする力(スプリングバック)が強くなります。
ドアビームのような製品では、このスプリングバック量が大きく、寸法精度の確保が非常に困難です。
対策として、あらかじめスプリングバックを見越して深く曲げる「オーバーベンド」の設計や、CAE解析(シミュレーション)を用いた正確な挙動予測が不可欠です。

2.ロール金型の摩耗と焼き付き

硬い素材を連続して成形するため、ロール金型にかかる負担は甚大です。金型が摩耗すると製品の寸法ズレや表面のキズ(打痕)につながります。
特にドアビームは表面の微細なキズ(マイクロクラック)が衝突時の破断起点となる恐れがあるため、表面品質には細心の注意が必要です。
対策には、金型素材に耐摩耗性の高い特殊鋼(SKD11やハイス鋼など)を選定し、さらにTiC(炭化チタン)などの表面コーティング処理を施して寿命を延ばす工夫が挙げられます。

3.閉断面形状における溶接品質の確保

高い強度が求められるドアビームは、パイプ状の「閉断面」形状に成形されることが多く、ロールフォーミングライン内での連続溶接(高周波溶接やレーザー溶接)が行われます。
成形時のエッジ合わせ(突き合わせ)が不完全だと溶接不良が発生し、本来の強度が得られません。
対策には、成形工程での「ねじれ」や「反り」を完全に抑制し、溶接点での突き合わせ精度をミクロン単位で管理する技術が求められます。

4.端末加工(二次加工)時の割れリスク

ロールフォーミングで成形されたドアビームは、車体ドアに取り付けるために両端を平らに潰す(偏平加工)などの二次加工が必要です。
しかし、強度の高いハイテンパイプを急激に潰すと、加工硬化により割れが発生しやすくなります。
対応策として、端末加工専用の金型設計において、材料の逃げや潰し速度を最適化し、割れを防ぐ高度なプレ加工技術が必要となります。

ドアビームの制作事例

株式会社ヨシカワ

株式会社ヨシカワ-製作事例
引用元:株式会社ヨシカワ公式サイト
(https://www.k-yoshikawa.net/products/85/)

溶接とロールフォーミング加工の複合加工

株式会社ヨシカワでは高張力ハイテン材(ウルトラハイテン材)を使って、ロールフォーミング加工と溶接加工を合わせた複合加工による軽量ドアビームを製造しています。板厚はt1.8となっており、耐久性と軽量性の療法を追求していることが特徴です。

神戸製鋼所

安全性と軽量性を実現したアルミ製のドアビーム

神戸製鋼所がロールフォーミング加工を利用して製造したアルミ製ドアビームが、三菱自動車が販売するランサーエボリューションVIII MRの部品として採用された事例です。鉄製ドアビームと比較して1台当たり3.5kg(4ドア車)の軽量化に成功しており、安全基準についても適正にクリアしています。なお神戸製鋼所のアルミ製ドアビームは他にもホンダ車や日産車に採用されています。

神戸製鋼所公式HP(https://www.kobelco.co.jp/archive/topics/2004/04/1172409_7448.html

まとめ

ドアビームは、自動車のドア内部にある補強材で、側面衝突の衝撃を吸収して乗員を守る重要な安全部品です。
現代の車作りでは、高い安全性と燃費向上のための軽量化の両立が求められており、素材には高張力鋼やアルミ合金などが用いられます。常に均一な品質での大量生産が不可欠なため、製造には効率的なロールフォーミング加工技術が活用されています。

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  • 金属の強度が増す塑性加工に対応し、複雑な形状の部品製造が可能。
  • アルミ加工技術の確立と新素材加工技術開発を目指し、ドア周辺の自動車パーツをメインに製造。

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