ステンレスは耐食性や強度に優れる反面、加工が難しい素材です。
本記事では、ステンレスのロールフォーミング加工に焦点を当て、その有用性や特性を活かした用途例、スプリングバックといった加工時の注意点、そして実際の製作事例を詳しく解説します。
ステンレスは英語の「stainless(錆びない)」に由来する通り、耐食性に優れ、さらに耐摩耗性や導電性など色々なメリットを備える金属素材です。そのためステンレスはそれ自体が広く利用されるだけでなく、例えばステンレスと鉄やアルミを組み合わせた「ステンレスクラッド鋼板」として活用されることも少なくありません。
実際、ステンレスと軟鋼や低合金鋼を組み合わせたステンレスクラッド鋼板は、高い強度と耐久性や耐食性を兼ね備え、美観にも優れた素材として幅広い分野で有用性を発揮します。また、ステンレス鋼板やステンレスクラッド鋼板はロールフォーミング加工によって様々な分野で利用されており、一般的に建築物の外壁や外装パネル、屋根材、腐食環境における構造物の構造部材や補強材などにも利用されます。
その他にもステンレスは長期にわたって美観を維持したい内装や装飾、調理器具や農機具、ガス用配管や石油プラント設備など幅広い用途に適している点が魅力です。
ステンレスの耐久性や耐食性といった材料特性を活用して、腐食しやすい環境や長期的な安全性・耐久性の確保が求められるシーンにおいて素材として採用されていることが特徴です。
例えば、塩害の影響を受けやすい海洋環境では、建築物の資材や乗り物の部品などに用いられる素材の耐腐食性を極めて重視しており、SUS316といった耐腐食性に優れたステンレスは船舶の部品や海洋プラントの構造、また海中に設置されるパイプラインの部品の製造などに利用されます。加えて、パイプやフレームの量産にはロールフォーミング加工が活用されており、ステンレスの特性を損なうことなく、均一で長尺品にも安定的に対応できるロールフォーミング加工は、海洋開発や海洋プロジェクトにおいて欠かせない技術の1つといえるでしょう。
ステンレスは耐腐食性に優れている金属ですが、同時にニッケルやクロム、炭素など他元素の含有量によって素材特性に差が生じることもポイントです。
例えば、ステンレス材として広く活用されているSUS316とSUS316Lを比較した場合、SUS316よりも炭素含有量を低減させたSUS316Lは同等の耐食性を維持しながら溶接性に優れているといった違いが生まれます。一方、SUS316はモリブデンの添加によって耐塩水性や耐酸性が強化されており、例えば高強度が求められる場面ではロールフォーミングの材料にSUS316を活用し、ロールフォーミング後に溶接を行っても品質や形状の精度をハイレベルで保ちたい場合にはSUS316Lを材料に使用するといった、各ステンレス素材の特性に応じた使い分けも重要となります。
ステンレスの特徴として、美しい金属光沢によって塗装などの表面加工を行わなくても優れた美観を獲得できるといった点は無視できません。これにより、ステンレスは建物の構造や自動車のフレームなどに採用されているだけでなく、むしろ人の目に触れる内壁や外壁、あるいは内外装などへ積極的に使用されることも多々あります。
例えば、アメリカのディズニーコンサートホールの外壁パネルにはステンレス鋼(SUS316)が使用されており、さらに特殊研磨を施すことで建築物としてだけでなく現代的な建築アート作品としてのニーズへ応えていることが魅力です。
衛生面が重視される調理器具や食器の材料、また食品加工工場の生産ラインの設備機器に関してもステンレスが積極的に採用されている他、土の中のミネラルや肥料、薬剤などの影響で腐食しやすく、使用目的によって衝撃や摩耗への耐性も求められる農機具などの材料としてもステンレスは有用です。
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強度が高く、錆びにくく、美観にも優れたステンレスは金属素材として様々に活用されている反面、硬く、スプリングバックが発生しやすいなど加工難易度が高いことも特徴です。
スプリングバックとは、圧力を加えて変形させた金属素材が、再び元の形状に戻ろうとする性質やその現象を指します。ステンレス鋼は一般的にロールフォーミング加工や金属加工で用いられる金属素材の中でも比較的スプリングバックが発生しやすい素材であり、ロールフォーミング加工を行う際にはあらかじめスプリングバックを前提として曲げ角度をシミュレーションしなければなりません。
具体的には、最終的な仕上げ角度よりもあらかじめロールの加工角度を2~3度ほど大きくしておくといった方法が採用されます。
ステンレスはクロムや炭素といった素材を添加されている合金であり、それらの成分比率によってステンレス鋼でも複数の種類が存在している点に注意しなければなりません。
ステンレス鋼の種類が異なれば、当然ながら金属素材としての硬度や強度といった特性も変化するため、必然的にロールフォーミングによる加工条件もそれぞれに合わせて調整することが求められます。
実際、例えばSUS304のステンレスであれば180度で密着曲げを行っても割れが生じない一方、同条件でSUS430を加工すると不良が発生する可能性が高まります。
ステンレスは熱伝導率の悪い素材であり、圧力を加えたり切削したりした際に熱がこもりやすく、その後に急速に温度が低下することで割れやすくなるといったデメリットにも注意しなければなりません。
熱伝導率はステンレスの種類によって異なるため、曲げ角度などと同様にこちらも適切なシミュレーションが必要です。
そもそもステンレスは高強度・高硬度の素材として活用されている合金であり、スプリングバックが起こりやすいことからも、曲げ加工などでは強い力を加えて加工しなければなりません。
しかし、ステンレスは強い力を加えることで素材がさらに硬くなってしまう「加工硬化」が起こりやすいことも特徴です。
加工硬化が発生すると、その素材の性質は元に戻らなくなるため、ステンレスのロールフォーミング加工では適切な圧力を計算して条件設定をする技術が重要となります。

スライドレールのロールフォーミング加工
ロールフォーミング加工によってオールステンレス製のスライドレールを制作した事例です。耐食性や強度に優れているステンレス素材を使用することにより、劣悪な環境下でも耐久性や強度を維持したまま利用することが可能とされています。

冷間ロールフォーミング加工事例
冷間ロールフォーミングによって、幅10〜420mm、板厚0.2〜5.0mmのステンレス鋼板を使って様々な製品を加工することが可能です。利用例としては鉄道部品やショーケース部品、手すり用建材、自動車部品など多岐にわたります。
窓枠や手すり、欄干といった建築分野で活用される製品を始めとして、自動車のパーツや家電製品の部品、農業用温室フレームといった様々な製品に合わせた型鋼を開発して複雑形状のロールフォーミング加工にも対応しています。
ステンレスは、その優れた耐食性、耐久性、美観から、ロールフォーミング加工によって建築資材、海洋関連の部品、自動車部品など多岐にわたる分野で活用されています。
しかし、高強度である反面、スプリングバック(成形後の戻り)が発生しやすく、加工硬化(加工によりさらに硬くなる現象)や熱による割れのリスクも伴うなど、加工難易度が非常に高い素材です。 そのため、ステンレスのロールフォーミングを成功させるには、SUS316やSUS304といった材料ごとの特性を深く理解し、スプリングバックを計算に入れた設計や、適切な加工条件を設定する高度な技術とノウハウが求められます。
細かい寸法管理が必要なロールフォーミング加工。加工会社を選ぶには、技術力の高さと品質管理体制に注目することが大切です。そこで品質管理体制を外部審査によって証明された国際規格ISO9001を取得する加工会社の中から、発注したい製品ごとに特徴的な加工会社をご紹介します。
高強度が要求される
建築構造部材の相談なら
例えばこんな部材建材、床根太材、
太陽光架台など
耐食性が求められる
工場設備配管の相談なら
例えばこんな配管食品工場などのタンク、
ミキサーをつなぐ配管
軽量化と強度が求められる
自動車部品の相談なら
例えばこんな部品センターサッシュ、スライドレール、
シートレールなど