鉄鋼材は、建築物から日用品まで幅広く使用される重要な素材です。その鉄鋼材を特定の形状に連続して成形する加工法が「ロールフォーミング」です。
本記事では、鉄ロールフォーミングがどのような用途で使われているのか、どのような種類の鉄鋼材が適しているのか、そして加工時に注意すべき点について、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
金属元素としての鉄や、鉄を使用した鉄鋼材は人類の生活や文明と切っても切れない関係にある素材であり、住宅建築や日用品や雑貨、機械製品の製造、さらにはサプリメントとしての鉄剤の成分など様々な場面で活用されています。
そして、特に建築資材や建設用途などに鉄板や鉄鋼部品を使用する場合、あらかじめ設定されている規格に合わせて一定品質の製品を量産しなければならない特性上、その部品製造にはロールフォーミング加工が用いられることも少なくありません。
鉄ロールフォーミングは、例えば建築資材として屋根材や外壁パネルを製造する際に安定量産の方法として適しており、エスカレーターやエレベーターの部材を製造する際や、窓枠やフレームの製造、内装材や階段・ベランダの手すりといった用途にもロールフォーミングは有効です。
その他にも、建築物の構造に関する建築部品や立体駐車場の構造に関する部品、配管やダクトといった部分の製造にも鉄ロールフォーミングは利用できます。
鉄と言っても金属加工の素材として使用する「鉄(鉄鋼材)」には様々な種類や特性があり、まずはどのような鉄鋼材が一般的に活用されているのか把握しておかなければなりません。
なお主な鉄素材や鉄鋼材としては、大きく以下のような分類があります。
炭素鋼は鉄に炭素を加えた鉄鋼材であり、添加する炭素の量によって素材としての硬さや強度をコントロールしやすいことが特徴です。また炭素鋼は加工性やコストパフォーマンスにも優れており、自転車のフレームから建築物の鉄骨まで幅広い分野で活用されている身近な素材です。
炭素鋼は炭素の含有量によって低炭素鋼・中炭素鋼・高炭素鋼といった分類がされており、炭素が多いほど硬くなり、炭素が少ないほど加工しやすくなるといった違いがあります。なお、炭素の他にもケイ素やマンガン、リンといった成分が添加されている点も特徴です。
その他にも、炭素量は焼入れや溶接といった加工にも影響するため、用途に合わせて成分比や条件を選択しなければなりません。
ロールフォーミングの素材として炭素鋼を使用する場合、硬すぎる素材では加工が困難になるため、例えば冷間圧延鋼板(SPC材)のような比較的加工性に優れた炭素鋼を選択することが基本です。
合金鋼は鉄鋼材の主要元素である「炭素・ケイ素・マンガン・リン・硫黄」の他に、特定の金属元素を少量添加されている鉄鋼材です。
低合金鋼で添加される元素としてはクロムやニッケル、タングステン、モリブデン、コバルトなどが考えられており、それぞれの元素の量や種類によって耐摩耗性や耐食性、強度といった鉄鋼材としての性能を向上させることができます。そのため高負荷のかかる機械部品や建築物の構造部材など様々な用途へ適していることがメリットです。
反面、使用する金属元素の種類が増えるため炭素鋼よりもコスト高になりやすいことはデメリットです。
ロールフォーミングへ低合金鋼を採用する場合、必要とする強度や加工性のバランスを考えなければなりません。また加工によって素材が硬化することもあり、仕上がりまでの変形回数や加工時の負荷なども考慮することが必要です。
高張力鋼は「ハイテン鋼」とも呼ばれる合金鋼であり、合金成分を工夫することで一般構造用圧延鋼材よりも優れた強度を獲得している金属素材です。
引張強度が高い素材でありながら軽量である点も特徴であり、例えば高強度を保ちつつ薄い板を使いたいといったニーズには高張力鋼が適しています。
具体的にどのような合金成分比にするかは、目的とする製品や使用環境に合わせて選択することになります。
高強度で薄板を使用できる高張力鋼はロールフォーミングへ適性がある反面、スプリングバックが発生しやすく、十分な加工品質を得るためには適切な設計や加工条件の設定が不可欠です。
ロールフォーミングは金属板を曲げながら断続的に加工するという性質上、どうしても素材の強度や成形性、薄さ(板厚)といった条件を無視できません。
一般的に、各鉄鋼材として使用されている板厚範囲は以下のようになっていますは、それを踏まえてどのような板厚を選択するかは加工業者などと相談して検討することが肝要です。
例えば同じ強度の素材であれば、板厚が増すごとにロールフォーミングの加工難度が高まります。一方、板厚が薄すぎると加工時の破損リスクが増大したり、過剰なスプリングバックによって一定の品質が維持できなくなったりする恐れもあるでしょう。

例えば日本金属株式会社の冷間ロールフォーミングでは、板厚0.2mm〜5.0mmの各種鉄鋼材が採用されています。
求めるのは柔軟性?
知名度?複雑断面?
信頼できるロールフォーミング
加工会社を厳選
実際にロールフォーミング加工で任意の鉄鋼材を選定する場合、用途に合わせて素材の強度や耐食性、柔軟性(成形性)、コストパフォーマンスといった各種条件を総合的に検討し、最もバランスの取れた素材を採用することが重要です。
また、消耗度の高い環境や部品の場合、修繕や交換を想定して素材の安定供給を重視することも大切です。
スプリングバックとは、圧力をかけて曲げるといった加工で金属素材を変形させた後、素材が元の状態へ戻ろうとして加工直後の状態から変形してしまう現象です。鉄を含めて様々な金属素材にはそれぞれスプリングバックを起こす性質があり、鉄をロールフォーミングで加工する際にも必ずスプリングバックを考慮した上で加工量を調整しなければなりません。
具体的には、目的とする寸法よりも少し大きめに加工を行い、スプリングバックが発生した結果、目的とする形状になっているように調整します。
鉄は純度100%で使用されることがなく、基本的には炭素などを含有した鋼材として利用され、様々な業界における鉄鋼製品の材料となります。そのため鋼材の加工には目的に応じて色々な方法があり、ロールフォーミング加工もその1つです。
そしてまた、鋼材の加工ではその手法や加工量によって素材に想定外の歪みが変形が生じることも少なくありません。そのためロールフォーミングを行う場合も、あらかじめ素材の性質とロールフォーミングの特性を踏まえた上で、歪みや変形を想定して設計する必要があります。
鋼材は含有炭素量によって曲げ加工やロールフォーミングの難易度が変わる素材でもあり、それぞれの鋼材に適した加工条件や機器の設定を調節できなければ、素材を曲げた際に割れや亀裂が発生してしまうかも知れません。
割れや亀裂は鋼材の外観的に不具合となるだけでなく、素材の耐久性を低下させて事故やトラブルのリスクを高めるため確実に対処することが肝要です。
曲げ加工と穴あけ加工が同時に行われるような場合、穴を開けたすぐ近くで曲げ加工を行うと、加工の影響で穴が変形して寸法が狂ってしまう恐れもあります。
そのため曲げ加工と穴あけ加工を同時に行いたい場合は、それぞれの間隔を十分にとらなければなりません。
鋼材は曲げ加工の方法によって加工温度が変わることも重要です。ロールフォーミングは冷間曲げと呼ばれており、常温~720度の範囲で鋼材の曲げ加工を行います。一方、鋼材をバーナーなどで熱して柔軟な状態にし、曲げやすくした上で変形させるといった熱間曲げもあります。

複数の穴あけ加工と曲げ加工を同時に行う
エレベーターの資材として鋼材をロールフォーミングとプリパンチにより加工した事例です。複数の穴あけ加工を行ってからロール加工が行います。

プリパンチとロールフォーミングで屋根材を製造
屋根の骨格に使用される建築資材として、鉄を素材に利用し、ロールフォーミングとプリパンチによって屋根材を製造した事例です。

長尺の鉄製パイプに溝を形成
鋼材(SECC)を利用して製造された長尺の金属パイプに、溝を形成した事例です。連続造管工法としてロールフォーミングによってパイプをオンライン成型することで、三角パイプや丸パイプなどを溝付きにできます。

母材の特性を維持したまま高強度の鋼管を製造
BCP(冷間プレス成形角型鋼管)は、プレス成形やロールフォーミングとアーク溶接を組み合わせることで、母材の性質を変化させないまま高強度に加工された鋼管です。用途に応じて複数のサイズがあり、ナカジマ鋼管株式会社は板厚22mmまで対応します。
鉄ロールフォーミングは、屋根材や構造部材といった建築資材からエレベーターの部材、配管まで、多様な分野で活用される効率的な量産加工技術です。
ただし、加工の成功は、用途に適した鉄鋼材の選定にかかっています。炭素鋼の加工性、低合金鋼の強度、高張力鋼の軽量性など、素材ごとの特性は大きく異なります。特にスプリングバックや加工による歪み、割れは品質に直結する問題であり、これらを回避するには、素材特性と板厚を深く理解し、それらを計算に入れた精密な設計と加工条件の設定が不可欠です。 「溶接品質低下」は、特に溶融亜鉛めっき鋼管の場合、亜鉛が影響するため、溶接部の被膜をあらかじめ除去し、溶接後に再度防錆処理を施す必要があります。
細かい寸法管理が必要なロールフォーミング加工。加工会社を選ぶには、技術力の高さと品質管理体制に注目することが大切です。そこで品質管理体制を外部審査によって証明された国際規格ISO9001を取得する加工会社の中から、発注したい製品ごとに特徴的な加工会社をご紹介します。
高強度が要求される
建築構造部材の相談なら
例えばこんな部材建材、床根太材、
太陽光架台など
耐食性が求められる
工場設備配管の相談なら
例えばこんな配管食品工場などのタンク、
ミキサーをつなぐ配管
軽量化と強度が求められる
自動車部品の相談なら
例えばこんな部品センターサッシュ、スライドレール、
シートレールなど