ロールフォーミング加工の製品事例の中から、自動車業界の事例をピックアップして紹介しています。各事例について、写真と共に簡単な概要や加工を行った会社の基本情報も掲載しています。加工依頼先を探す際の参考にしてください。
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市場からのニーズが進化する中、自動車業界が求める部品の特性や品質も進化することを余儀なくされています。進化すべきポイントは、何よりも車体の「軽量化」です。「軽量化」を実現するためには、鋼板素材の開発が重要な課題となります。
世論や法令などを背景に、自動車業界では「地球温暖化防止」「二酸化炭素排出量削減」といったテーマを外して自動車を製造することはできなくなりました。これらテーマを実現するために電気自動車や燃料電池自動車などが開発されていますが、まだまだガソリン車が多い現在において、車体の軽量化は大きな課題となっています。
車体の軽量化は走行性能の向上にもつながる重要なポイントなので、たとえ将来的に電気自動車等が主流になったとしても、追求し続けるべきテーマとなります。
自動車にふさわしい軽くて高強度の素材として、まず考えられるのが鋼材の薄肉化や熱処理の工夫等による強度アップ。鋼材の加工技術の開発により、現行水準より5~30%程度の軽量化が実現すると言われています。
さらに軽量化を図るならば、素材そのものの置き換えも選択肢となります。鋼材ではなく樹脂を用いれば、現行水準より30%以上の軽量化が実現します。実際にトヨタ自動車の「シエンタ」では、外装部分を樹脂化して305%の軽量化に成功させました。
車体の軽量化というテーマの解決に向け、ロールフォーミングを活用したプロジェクト事例があります。
「強くて軽い自動車素材」の開発を目的に、超高張力鋼板の加工性の問題を解決した上で、ロールフォーミングにより実用的な部品を成形すること。
革新的なロールフォーミング技術の開発、およびロールフォーミングのシミュレーションソフトやプレスシミュレーションソフトの開発と活用。
超高張力鋼板に対応したロールフォーミング技術の高度化、素材形状の自由度の向上、超高強度材成形に向けた技術の高度化など。
ここで登場する「超高張力鋼板」とは今後の自動車産業における重要なキーワードであり、近年、市場からの需要も高まっている素材です。
超高張力鋼板とは「引っ張り強度」の高い鋼材のこと。一般的な鋼材の引っ張り強度は270MPa以上であるのに対し、超高張力鋼板は980MPa以上。その強度の差は実に約3.6倍です。 強さだけではなく、素材の安定性や耐久性、経済性なども向上させた、まさに理想的な自動車素材となります。
超高張力鋼板の需要の高まりの背景には、やはり車体の「軽量化」に対するニーズがあります。「地球温暖化防止」や「二酸化炭素排出量削減」など課題に加え、かガソリン価格の上昇も車体の重量を見直すきっかけとなっています。
センタレスパイプ
新家工業のステンレスパイプをベースに、引抜加工後にセンタレス研削を施したセンタレスパイプ。機械設備、建設機械、自動車などさまざまな分野で使われています。
所在地 | 大阪府大阪市中央区南船場2-12-12 |
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電話番号 | 06-6253-0221 |
URL | https://www.araya-kk.co.jp/ |
バンパーリンフォース
高強度・高ねじり剛性を実現する日の字断面を1部材で実現した独自のバンパーリンフォースです。
所在地 | 岡山県総社市真壁1597 |
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電話番号 | 0866-93-2323 |
URL | https://asteer.co.jp/ |
ロールドアサッシュ
複雑なロール断面を自由自在に曲げられる技術によって、多彩なデザインが可能に。
所在地 | 東京都北区赤羽南2-5-1 |
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電話番号 | 03-3902-8200 |
URL | https://www.sankei-gk.co.jp/ |
ロアサッシュ
タイガーサッシュ製作所が手掛ける自動車部品は、スズキの「スペーシア」「ワゴンR」にも採用されています。
所在地 | 愛知県刈谷市半城土町大下馬71-1 |
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電話番号 | 0566-21-2881 |
URL | http://www.tiger-sash.com/ |
タイガーサッシュ製作所の
ロールフォーミング加工の特徴を詳しく見る
ルーフレール
プレスベンダー加工では実現できない長尺品を高精度に成形することができます。
所在地 | 東京都港区芝5-30-7 |
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電話番号 | 03-5765-8111 |
URL | https://www.nipponkinzoku.co.jp/ |
パワーウインドウレギュレーター
東海金属工業の輸送機器部品製造部門では、自動車のドア周りを中心に、さまざまな部品製造に対応しています。
所在地 | 静岡県駿東郡清水町柿田881 |
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電話番号 | 055-971-7700 |
URL | http://www.tokai-mmc.co.jp/ |
ドアビーム
自動車のドア補強部材です。ウルトラハイテン材を使用しています。
所在地 | 群馬県太田市西新町135-11 |
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電話番号 | 0276-31-4100 |
URL | https://www.k-yoshikawa.net/ |
株式会社ヨシカワでは新技術としてロールフォーミング加工に関するシミュレーションソフトとプレスシミュレーションソフトを活用し、革新的なロールフォーミング加工を実現することで、引張強度1.7GPAの超高張力鋼板を使ったバンパーメンバーなどの自動車部品製造技術を確立しました。
従来は加工性に難があった超高張力鋼板を採用しつつ、誤差1mmという形状精度と自由度の向上を叶えることで、クライアントが要求する部分断面形状に即した自動車部品を製造しています。
アステアでは冷間ロールフォーミングを活用した独自のバンパーリンフォース製造に関して、高強度かつ高ねじり剛性を叶える「日の字断面」を1部材で再現する技術を確立ています。
冷間ロールフォーミングのメリットを活かすことで1.3GPaクラスの高強度を活かしながら、材料の歩留まり率において100%を達成することでコストパフォーマンスも高めており、軽量化や衝突特性の向上、車体剛性の向上といった機能的進化も達成していることが重要です。
三恵技研工業株式会社はロールフォーミング加工に関して技術追求を続けており、複数のロール駒へ鋼板を通して成形する多段ロールフォーミング(多段ロール成形)を技術特徴の1つとして掲げています。
最大60段というロールを組み合わせることで、自動車のドアフレームのように複雑な断面形状も自動製造できる生産環境を構築しており、溶接や曲げ、切断といった加工も一貫して行うことで生産性を高めて低コスト化を叶えながら、品質向上ニーズにも対応します。
神戸製鋼所の加古川製鉄所/技術研究センターのエンジニアらによって、ロールフォーミング技術と超高強度鋼板(UHSS)を併用した軽量車体構造コンセプトに関する技術論文が発表されました。
具体的には、2000ccクラスの中型セダンを実験用のベース車両として採用し、そこへUHSSロールフォーム部品を使用した車両モデルと、センタピラーやルーフレール、フロアクロスメンバなどを使用した車両モデルをそれぞれ用意した上で、大型SUV車との側面衝突試験などの比較検証を行いました。そしてその結果、UHSSロールフォーミングを利用した、低コストかつ車両の安全性や耐衝突性も追求できる新コンセプトの開発に至っています。
新家工業株式会社では従来のロールフォーミング加工ラインへ、独自に開発した複合技術を組み込むことで、幅広い顧客ニーズや各業界の性能品質基準にマッチする生産ラインの構築を実現しています。
対応可能な製品や形状に関しては、シンプルなものから複雑なものまで柔軟に調整できることが強みとなっており、例えばステンレス角管のロールフォーミング加工に関しては優れた表面肌の美観によってデザイン性を高めることも可能です。
また材料特性を損なわない加工によって、形状安定性や品質安定性を高めることで自動車部品のような量産時の均一性が重視される業界にも対応します。
タイガーサッシュ製作所ではロールフォーミング加工技術を土台として、自動車用サッシュを主製品としながら各種自動車用部品の製造や量産を行っています。
設計から加工、最終仕上げまで自社一貫体制による生産ラインの構築が強みとなっており、技術のベースとなるロールフォーミング加工に関してはグローバルスタンダードの品質水準を追求しながら一層の技術成長を目指すことで、0.6~2.0mmの薄板を用いて様々な製品を製造できる環境が構築されました。なお、ロール成形後の部品をそのまま各種加工ラインへ運んで加工する自動化にも成功しています。
日本金属株式会社ではロールフォーミング加工を自動車のルーフレール製造などに採用することで、従来のプレスベンダー加工では対応困難な長尺部品に関しても、高精度の量産体制を確立していることが特徴です。
そもそも日本金属株式会社の冷間ロールフォーミング技術はステンレス材の加工方法として60年以上の歴史とノウハウを有しており、現在では高光沢で美観に優れたステンレスや特殊鋼を利用して自動車の内外装パーツへ柔軟に対応しています。
東海金属工業株式会社ではロールフォーミング加工設備に関して、2025年1月調査時点で冷間ロールフォーミング加工機が15台、ロール二次元キャンバーが5台、ロール三次元曲げ切断機が2台という設備環境を整えています。これにより、縦曲げや横曲げなど立体的で高精度のロール成形を再現しており、自動車や輸送機部品に関してはドアフレームなど車の安全性や耐衝突性に影響する重要部品の量産などへ対応していることがポイントです。
株式会社ヒサダはロールフォーミングを活用した金属加工をメイン技術の1つとして掲げる製造業者であり、グループ全体で50機以上(2025年1月調査時点)のロールフォーミング機を活用しながら、大小様々なサイズの製品や複雑形状の加工などにも幅広く対応していることが特徴です。
また、被加工材をロールフォーミング機へ自動供給するアンコイラーや、断面形状を保持するシーム溶接、立体的な曲げ加工を行うキャンバー成形など一貫体制で対応しており、自動車業界に関してはセンターサッシュやロアフレーム/デビジョンバー、スライドレールなどドア周辺のパーツの製造を得意としています。
生産速度が早い、成形品質に優れる、さまざまな製品長に対応できるなど多くのメリットがあるロールフォーミング加工は、自動車業界以外でも多く採用されています。
当サイトでは、国際規格ISO9001(品質)・ISO14001(環境)を両方取得し、高品質なロールフォーミング加工を提供する会社を厳選して紹介しているので、ぜひそちらも併せて参考にしてください。
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高品質なロールフォーミング
加工会社を厳選
また建築・大型車両業界など、自動車業界以外の製作事例も見たい方は、下記のリンクよりご覧ください。
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細かい寸法管理が必要なロールフォーミング加工。加工会社を選ぶには、技術力の高さと品質管理体制に注目することが大切です。そこで品質管理体制を外部審査によって証明された国際規格ISO9001を取得する加工会社の中から、発注したい製品ごとに特徴的な加工会社をご紹介します。
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