クラッド鋼板はチタンとステンレス、チタンとアルミといった異種金属を接合して1枚の板とした素材です。建材の製造などに利用されるクラッド鋼板のロールフォーミングの特徴や注意点、ロールフォーミング活用事例をまとめました。
クラッド鋼板とは、異なる金属を素材として接合し、1枚の金属板として加工された板材です。使用される金属にはチタンやステンレス、アルミといったものが使用され、例えばステンレス層とチタン層を重ねてクラッド鋼板として接合させたものや、ステンレス層の上下をチタン層で挟んで3層構造にしたようなものなど、用途や目的に応じて色々なクラッド鋼板が開発されています。
クラッド鋼板はチタンやステンレスといった耐久性・耐候性に優れた素材を活用しながら、それぞれの金属のメリットを複合的に追求するものであり、建材を始めとして色々な分野で利用されていることも特徴です。
このページでは特に、ステンレスとチタンを活用したクラッド鋼板について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ステンレスクラッド鋼板は、文字通りステンレス鋼をベースとして製造されているクラッド鋼板です。ステンレスクラッド鋼板としては、ステンレスとアルミニウムを重ねて2層構造にしたり、アルミニウム層を2枚のステンレス層で挟んで3層構造としたりしたクラッド鋼板(Al/SUSクラッド)、またアルミニウムの代わりに鉄板を中間層としてステンレス層で挟んで3層構造としたクラッド鋼板(Fe/SUSクラッド)などが開発されています。
軽量なアルミニウムや強度の高い鉄を使用しつつ、表面には耐久性や耐食性に優れたステンレスを用いることで、素材としての機能や寿命などを向上させられることが強みです。
クラッド鋼の中でも特に、素材としてチタンを使用されているものがチタンクラッド(チタンクラッド鋼)です。
チタンは鉄の半分程度の比重の金属元素であり、一方で鉄よりも高強度を誇ることが特徴となります。加えてチタンは耐食性にも優れており、例えば海水に対して完全耐食を誇る素材として海洋分野の建材や補強材に使われたり、また人体に毒性がないことから医療用の金属骨格として利用されたりすることも特徴です。
チタンクラッド鋼には、例えば鉄板の層をチタン層でサンドし、板材表面の耐久性や耐候性、耐食性などを向上させるといったメリットがあります。反面、チタンと鉄のクラッド鋼ではアーク溶接を使用できないため、溶接加工には特殊な技術を使用しなければならないといった注意点もあります。
クラッド鋼板は、組み合わせる金属の特徴や接合方法によって様々な機能を獲得するため、それぞれのクラッド鋼板を色々な用途に使えることも重要です。
クラッド鋼は耐食性に優れた金属を表面に用いることで、素材として優れた耐候性や耐久性を獲得させることが可能です。そのため、建築物の外壁や外装パネル、モニュメントの外装材などに利用されることが少なくありません。
耐食性や耐久性に優れたクラッド鋼は美しい外観を維持しやすいことも特徴であり、高級感と耐久性の両立が求められる空間において内装材としても利用されます。
建物のロビーやエントランスホール、エレベーターの内装など用途は多岐にわたります。
外壁や外装パネルとして有用性のあるクラッド鋼板は、建築物の屋根材としても優れている素材です。耐候性や耐久性に加えて軽量性も追求することで、建物の構造へ負担をかけることなくメンテナンスフリーの屋根を実現できる点は強みでしょう。
建物の強度や安定性を支える構造部材や補強材にもクラッド鋼板は広く利用されています。また、特に沿岸エリアや工業地帯、海洋構造物など腐食リスクの高い場所において、安心安全な施工をするために有用です。
ステンレスは美観に優れた金属であり、装飾部材として利用されることも珍しくありません。そのためステンレスクラッド鋼板のように作業性や加工性に優れた素材は様々な部位における装飾部材としても価値があります。
日常的に水や食品、洗剤などを使用する厨房設備は、腐食リスクの高い環境であり、また衛生面における配慮が欠かせない空間でもあります。また比較的安価に導入できるステンレスクラッド鋼板などは業務用キッチンの作業台や内壁、その他設備に利用されることもあるでしょう。
クラッド鋼板は使用している素材や構造によって機能性や特徴も異なるため、それぞれの条件を踏まえた上で適切なロールフォーミング条件を考えなければなりません。
スプリングバックとは、曲げ加工などによって変形させた金属板が元の形状に戻ろうとする現象です。ステンレスやチタンのように強度の高い金属素材はスプリングバックを起こしやすいため、ロールフォーミング加工も最終的な仕上げ確度より少しだけ大きめに加工確度を設定します。
加工硬化は金属に力を加えることで硬化する現象です。ステンレスやチタンは加工硬化が発生しやすく、さらに硬化後は割れやすくなるため、ロールフォーミングによって圧力をかける際にもあらかじめ適切な範囲の圧力条件を設定することが必要です。
クラッド鋼板の特徴として、使用されている金属によって熱伝導率が異なる点も重要です。
クラッド鋼板に熱を加える際や鋼板を急速に冷やす際、金属の種類によって一部に熱がこもったり熱変形が生じたり可能性もあるため、適切な熱管理を行わなければなりません。
ロールフォーミングは素材の鋼板へ連続的に圧力をかけながら目的の形状へ整えていく加工法です。そのため、どうしても素材の表面と加工機の接触による摩擦や衝撃が発生するリスクを無視できません。
特にチタンのように表面硬度があまり高くなく、傷の付きやすい金属を使用している場合、適切な傷対策や品質管理が必要です。
チタンは摩擦によって傷つきやすいだけでなく、摩擦熱による焼き付きが発生する恐れもあるため、焼き付き防止として合金製ロールを使用するといった対策も大切です。
チタンアングル
純チタン2種を冷間ロールフォーミング成型によって、建材やモニュメントの補強材として製造したチタンアングルです。
所在地 | 千葉県浦安市美浜1丁目9-2 浦安ブライトンビル2F |
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電話番号 | 047-306-4500 |
URL | https://www.ofa-titanium.com/ |
細かい寸法管理が必要なロールフォーミング加工。加工会社を選ぶには、技術力の高さと品質管理体制に注目することが大切です。そこで品質管理体制を外部審査によって証明された国際規格ISO9001を取得する加工会社の中から、発注したい製品ごとに特徴的な加工会社をご紹介します。
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